ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ドント・ブリーズ』感想

面白かったけど、誰にも感情移入できないのでちょっと乗れなかった。私はあんまし好きじゃないかもなこの映画。コソ泥三人組は揃いも揃ってクズだし、老人のほうもクズではないけど倫理観を捨てているので共感はできないっつうな(途中までは老人を応援していたけども)。その上で私が一番苛立たされたのはロッキーなので、彼女一人が生き延びたラストには渋面になってしまう。ロッキーもトラウマにはなるだろうしカリフォルニアで妹と楽しく暮らす、というわけにはいかないにしても、とにかく「気に入らね〜〜〜」の一言。盗みは妹のため、という設定をつけたことで余計に癪に触ってしまったというのもある。

それでも家に侵入してからのカメラワークや長回しは雰囲気が出ていて良かったし、盲目であることを活かした展開も面白かった。目の前に銃を構えた老人がいても音を立てなければやり過ごせるかもしれない、というシチュエーションと画がいいな。あと老人が家の明かりを消すことで、アレックスやロッキーを盲目と同様の状況に引き込むところは緊張感も増して盛り上がる。

しかし「娘が殺されたので、殺した女に自分の子を孕ませて娘をもう一度手に入れようとする」という思考回路は異常だし、ロッキーの怒りと嫌悪感は理解できるんだけど、それでも危うく精子を注入されそうになったロッキーが老人に逆襲するシーンは思わず「やめたげて……」となってしまった。老人の口に精液を突っ込ませるのはさておき、容赦なく殴っていたのがきつかったというか。序盤こそ老人が強く頼もしく見えたけど、後半には「元軍人のスーパーおじいちゃん」というほど強くはないのだなという印象に変わってしまったから尚更。