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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ゼロ・ダーク・サーティ』感想

ビンラディン殺害に至るまでのCIAのエージェントの奮闘をひたすら追うからか、二時間半という長尺もあって力作なのは確かだけどやっぱりちょっと地味なんよね。序盤の拷問や尋問はともかく、「アブ・アフメド」を追ってる間は退屈でダラダラ見てしまった。ビンラディンの屋敷に到達してからやっと面白くなってきて、海軍による殺害作戦を再現したクライマックスは真っ暗で少し見づらいものの、そうした不満を含めても生々しい緊張感があって見入る。殺害の瞬間が呆気ないのもこれはこれでリアリティがある。

しかし長年の執念でビンラディンの居所に到達し、彼が殺されて任務を果たした後は喜びも安堵もなく、ただただ空虚な表情になるしかないマヤの姿が印象的。初期はダニエルによる拷問を見せられて顔を曇らせていたのに、いつの間にか「ビンラディン」という妄執に囚われたかのように変わってしまった己の長い時間を思わせる残酷さが美味でした。あとビンラディンの居所はほぼ掴めているのに何ヶ月も進展がなく、イライラしたマヤがガラスに経過日数を書いて上司(よく見たらマーク・ストロングだった)に執拗にプレッシャーをかけるシーンも好き。