ストーリーは陰謀を扱っているわりには小粒なんだけど、その分ゆるーいキャラクターとキレのいいギャグとテンポでぐいぐい引きつけてもらえた。70年代のアメリカを舞台にしているところも良かったな。とにかくライアン・ゴズリングが落ちる。落ちまくる。
一番大きいのがキャラクターとキャスティングで、可愛いおっさん二人に可愛い少女という組み合わせがいいし、クマみたいな図体をしてるけど妙に可愛げのあるクロウや、ダメ男を楽しそうに演じるゴズリングもいい。序盤のヒーリーに腕を折られた時の悲鳴でゴズリングは一気に好きな俳優になったかもしれない。情けない中年役がハマってたし、それでいて色気もある。ホリー役のアンガーリー・ライスもキュートで、だらしない父親に呆れつつちゃんと信頼しているところとかニコニコするんよな。ヒーリーとの関係もなかなかに面白くて、結局ホリーに止められてヒーリーがジョン・ボーイを殺すのをやめちゃうところが好き。
あとアメリカ映画のギャグは合わないことの方が多い私にしては楽しめたのが珍しい（ストーリーと関係のない下ネタは微妙だったけども）。冒頭のポルノ雑誌をニヤニヤしながら眺める少年の背後の窓の外で派手に滑り落ちる車とか、ガラスをブチ破ろうとしたら手首を切って出血多量で救急車で運ばれるマーチとか、木陰で一息つきながら煙草に火をつけたら隣に死体が座っていた時のマーチのリアクションとか、エレベーターから出ようとしたもののフロアでの惨事を目の当たりにしてすぐ引っ込む二人とか、あと一番笑ったのがプールでのニクソンだった。しかしマーチは奇妙な夢ばっか見てるのな……。
肝心のアメリアは殺されたし他にも死者は多数出ているし（マーチが即死だから大丈夫とか言ってたのは酷いけど笑う）黒幕をギッタギタには出来なかったけど、真相は掴めたし三人は無事だったからオッケー、という着地点も相応で良かったと思う。序盤はちょっと主役二人の行動の背景や動機が分かりにくく躓きかけたけど、クロウとゴズリングというキャスティングのおかげで最後まで見れたし楽しめました。満足。
