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『12モンキーズ』感想

12モンキーズ(字幕版)

テリー・ギリアム監督の作品は難解なイメージがあったので身構えていたけど、これは案外ストレートなタイムトラベルムービーだった。ジェームズが忙しなく現在と過去を行き来させられるのが面白かったし(しかしあのいい加減な転送装置は何なのか)、特に伏線が回収されていく後半は見ていて気持ちがいい。不穏なメインテーマも独特で耳に残る。思った以上に楽しめました。

ブラピの快演を堪能できるのも美味しい。彼の演じるジェフリーは確かにエキセントリックだけど、よくよく聞いてみると言ってることはまともなんですよね。狂人と言われたゼンメルワイスの話はジェームズのことを示唆しているし、消費社会への疑問を熱弁するところは『ファイト・クラブ』のタイラーと同じなのがまたじわじわ来る。

ジェームズが過去のパンデミックは自分のせいだと思いたくなくてこれまでのことを妄想だと思い込む流れも、キャサリンがジェームズの言っていたことが真実だったと気づいた時と同じタイミングなだけに滑稽で面白い。結局ジェームズは殺されてしまうけど、1996年の少年ジェームズはパンデミックが回避された世界で生きていけそうだし、主人公のジェームズがいた時代もワクチンが開発される可能性は高いので、起こったことは変えられなくても今後に救いはある。

しかしジェームズをボブと呼ぶ声だけはよく分からなかったな。最初の方で任務をこなすと戻れても頭がおかしくなるやつがいる、というような噂をホセとしていたので、素直に幻聴だったと捉えるのが良さそうだけども。