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『クーリエ / 最高機密の運び屋』感想

クーリエ:最高機密の運び屋(字幕版)

国も立場も違う二人の男のブロマンスが熱い。派手なアクションシーンはないけど、サスペンスとドラマで盛り上げてくれる良作でした。ベネカン目当てで見たようなものだけど、だんだん本物のスパイらしくなっていくサラリーマンを好演しており、終盤の痩せ方はちょっと心配になるほどだったけどそれ以上に演技に惹きつけられる。特に後半が素晴らしかった。ペンコフスキー大佐役のメラーブ・ニニッゼは今回初めて知ったけど魅力的なキャラクターを作り上げていたし、他にもCIAやMI6のエージェントの二人やグレヴィルの奥さんなど、二人を取り巻く周囲のキャラクターの描き方もちょうどいい感じで好感が持てる。無駄なシーンが何一つなく、テンポ良く進んでいくのも良かったな。

印象的なシーンは多く、バレエの観劇シーンは実際に観に行きたくなったし、危機が迫っているペンコフスキーを助けるために、グレヴィルがCIAとMI6に「今こそ僕を利用しろ」と告げて再びモスクワに飛ぶところも最高に熱い。その後、亡命に失敗して捕まった後はグレヴィルがひたすら痛々しいけど、その分収容所での奥さんとの再会にはぐっと来たし、グレヴィルとペンコフスキーの最後のやり取りにも泣けた。もしかしたらペンコフスキーはキューバ危機を回避できたことを知らないまま処刑されていた可能性もあったんだろうか。彼が殺されたのは哀しいけど、自分のやってきたことが無駄じゃなかったのだと知ることが出来たのは、彼にとっても大きな救いになったのだと思いたい。