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『初恋』感想

初恋

バイオレンスとコメディとロマンスと、あと日本刀と謎のアニメーションの詰まったボーイ・ミーツ・ガール映画の傑作。めちゃくちゃ面白かった。群像劇ってあまり好きじゃないんだけど、これは無駄なキャラがいないし展開も分かりやすいし、各キャラクターの事情と思惑が連鎖してしっちゃかめっちゃかになっていくのが楽しい。全体から漂うヤケクソ感が最高。

キャラクターはみんな良かったけど、MVPは間違いなく加瀬。染谷将太の表情がいちいち素晴らしいんだよな。計画が次々と破綻し、雑に人を殺していくのが面白すぎる。終盤のラリった加瀬もいいけど、中盤までのポンコツぶりと大伴刑事との合ってるんだが合ってないんだかなコンビが楽しかった。あとバールのようなものを持ったジュリの登場を見せられて唖然とするシーンが好き。ベッキーも生き生きしていた。

終盤、ホームセンターに舞台を移してからはちょっとグダるのが惜しい。同じくホームセンターでのバトルを描く作品として、商品を見事に活用していた『イコライザー』を先に見ていたのでちょっと物足りなさもあるんですよね。銃があればそちらを使うのは分かるけど、もうちょい工夫が欲しかったなと。でも悪党がほぼ全員死んだのは爽快でした。権藤さんとチアチーのような仁義を大事にするキャラクターがきちんと輝いていたのもいいよね。しかし最後に橋の上で権藤さんの車を追うパトカーのおびただしい数には笑う。なんやあれ。

主役二人も良かった。裏切りが跋扈するヤクザとチャイニーズマフィアの抗争の裏で進行していくレオとモニカの自然なやり取りがいい。私は主人公カップルを応援したいと思うケースは滅多にないけど、この二人は素直に応援できたのが本当に珍しい。吊り橋効果的なものはあるかもしれないけど、別にそれでも構わないと思うんだよな。占い師が告げたことは全部当たっていたというオチも好きだし、生きることの素晴らしさを訴える普遍的なテーマも良かった。あと、窪田正孝の死んだような目には色気がある。

しかしブリーフ一丁のおっさんの幻覚が毎回見えるというのはやばいな……。それが父親で、時折走って追ってくるんだから最悪やんけ。でも電車で沖縄民謡に合わせて踊り出すところは笑った。あかんあかんあかん。