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『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』感想

冒頭のヒドラを叩くシーンからアベンジャーズが見事な連携を見せていて、特に全員が画面に収まる一瞬を捉える画が最高。ここから「街を破壊するヒーローは必要なのか」というヒーローの負の側面を描いていくのも、この手の題材が好みの私には美味しかった。「自分のせいで地球が滅ぶ」という幻覚を見せられて焦っていたとはいえ、今回の惨事を引き起こしたのはトニーのせいではあるものな。でもみんなが死ぬことよりも自分だけが生き残ってしまったことを恐れているところに、トニーの弱さの本質が表れていてぐっと来たし彼がますます好きになった。更にアイアンマンと暴走したハルクによる市街戦で市民に危険が及ぶところも描かれており、アベンジャーズが悪いわけではないし彼らのおかげで宇宙人からの侵略も退けられたけど、アベンジャーズの存在に疑問を抱く人が現れるのも理解できる。問題提起への回答はないまま終わってしまうけど、それは後に描かれるのだろうと思います。

ところで今回はそのアイアンマンとハルクのバトルがすんげえ面白かった。アイアンマンとヴェロニカの連携にもワクワクしたし、ハルクの顔をすごい勢いで殴り続けるシーンはクッソ笑った。無人ビルを一瞬で買い取って戦いに利用するなんて芸当もトニーならではのやり方で楽しい。アイアンマンの方は市民に被害が出てるしハルクを抑えるのに必死だから笑い事じゃないんだけど、アイアンマンとハルク戦は派手なのもあってかなり面白かったな。この二人の科学者コンビが結構好きなのかもしれない。後半でもまだウルトロンの完成を諦めてないトニーにバナーが引いてたけど、あれもちょっと笑う。あの時バナーが拒否しなかったのは最悪の幻覚を見たことで必死になっているトニーに押し切られたというのもあるんだろうけど、そもそも科学者ってのは「未知の何かを完成させる」という欲求に抗えない生き物なんだろうな、とも思ってしまった。それはトニーも同様に。しかしジャーヴィスは好きなキャラクターだっただけにトニーの電脳執事じゃなくなったのが寂しいし、ヴィジョンの見た目が好みからかけ離れているのもちょっと……いやまあ仕方ないのか……。

ところでバナーといえば、ナターシャといきなりいい関係になっていたのは驚いた。ワンダの精神攻撃によってナターシャが追い詰められてしまったのはあるにせよ、彼女はてっきりバートンと一緒になるのかと思ってたものな。ただ、二人で逃げるのかと思いきや結局ナターシャがハルクを起こしちゃうんよね(バナーを突き落とすところはちょっと笑った)。やっぱりみんなを見捨てられないんだなナターシャって。それはバナーも同様なんだろうけども。そして最後はハルクが何も言わずにナターシャどころかみんなの前から去っていったのが、彼の負い目を感じさせて切ない。自分は化け物である、ということを最悪の形で思い知らされてしまった彼の気持ちを思うと……。

今回の惨事を引き起こしたのはトニーだけど、そのトニーを焦らせたのはワンダの攻撃によるものなのでワンダにも責任がないとは言えないし彼女もそのことを悔いてたけど、彼女はスターク社の作った兵器のせいで酷い目に遭っててトニーを恨んでいたわけで、でもそのことはトニーは直接関係しているわけではなく逆恨みだと思うし……と考えるともうきりがない。そもそも双子の影が薄かったけども。ピエトロの能力は面白かったのにもったいないな。ただ、ワンダとバートンの会話は良かった。あの超人集団の中でバートンは弓矢でよく頑張ってるな、とは思ってたけど本人もそのことを自覚していたし、今回で家庭を持っていたことも判明したからより他のメンバーとの違いが出ていて面白い立場になってるんよね。ナターシャにとってバートンが特別な存在ではあっても恋愛感情を抱かないのは、こうした「住む世界の違い」があるからなのかもしれない。しかし彼女の過去はかなり重そうなのが気になる。詳細が語られる日は来るんでしょーか。

ナターシャはバートンとの関係も好きだけど、キャプテンとのコンビも好きだなということを今回改めて実感した。特にクレードルを運ぶウルトロンを追う際に落としたキャプテンの盾を、クインジェットからバイクで乗り付けたナターシャが拾い、キャプテンに返すシーンが最高。キャプテンも盾を使った戦い方がより進化して面白いことになってるし、「言葉が汚いぞ」で散々いじられていたのが可愛かった。そいやソーの送別会でムジョルニアを使ったアーサー王の選定の儀式みたいな遊びをみんなでやってたけど(トニーの「"初夜権" を復活させる」は笑った)、キャプテンが僅かに動かしていたのがさすがだった。ソーだけがそのことに気づいている節があるけども。ソーと言えば髪をアップにした姿は色気があって好き。『DW』で地球に根を下ろすのかと思いきやアスガルドと行ったり来たりになるようで、相変わらず忙しいなこの人。ところで唐突に出てきた洞察の泉ってなんやねん。

今回のヴィランであるウルトロンは結構好き。あんまし強そうじゃなかったし「平和」の解釈もありがちだったけど、人間に絶望しているくせに人間に近いボディを求めるような矛盾したところが面白いなと。最後はあっさり倒されてたけど、これはもうアベンジャーズが強すぎるからしゃーないか。