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『ロブスター』感想

ロブスター (字幕版)
期日までにパートナーを見つけないと強制的に動物にされてしまう世界を舞台にした不条理コメディで、とにかく変な映画だった。ヨルゴス・ランティモスらしい作品だと思うけど、『籠の中の乙女』や『聖なる鹿殺し』は面白かったのにこちらは合わなかった。「動物に変えられてしまう」という設定が面白そうなのにあくまでも設定でしかなく、そこには迫っていかないんよね物語が。あと単純に映画が面白くない。前半と後半とで両極端な世界を描いて現代社会の有り様を風刺しているのかなと思うけど、私には刺さらない描き方だったな。ラブストーリーとしても興味が持てず、後半ははっきり言って退屈。これならホテルでの滑稽な様子が見られる前半の方がまだ楽しめた。

最後にデヴィッドがどうしたかは結局見せてもらえないけど、目を刺すことはできなかったのだと思う。そもそもデヴィッドは "心のない女" に合わせようとして一度失敗しているので、今度も難しいのではないか。こうしてデヴィッドたちのように「共通項」に拘泥する限り、どんなコミュニティから抜け出そうとしても縛られ続けることになるので、結局動物でいられるのが一番自由なのかもしれないな、と思わせてくるあたりが、まあ……。