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『ニュー・シネマ・パラダイス』感想

ニュー・シネマ・パラダイス (字幕版)

ニュー・シネマ・パラダイス (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

いい映画だとは思うけど合わなかった。生意気でずる賢いトト少年にイライラさせられてしまったのが響いた。他にも火事の時、アルフレードがまだ中にいるのは分かっているはずなのにトト以外誰も助けようとしない住民に恐怖したり、火災事故を起こす可能性のある仕事を子供にやらせる大人に呆れたり(一応アルフレードが言及していたけども)、雷雨の中でエレナ家の前で突っ立ってるトトに引いたり、仕事中に熱烈なキスを交わして観客を待たせるトトとエレナに苛立ったりと野暮な見方をしていることが多く、つまりそれだけ作品に没入できていなかった。

良かったところもあって、シチリアの美しい街並みがエンニオ・モリコーネの美しい音楽と共に堪能できるのは美味しかった。トトの幼年期から成年期、トトがローマに戻る時とローマから帰る時の繋ぎ方は、音楽の力も相俟ってちょっと感動する。映画監督として大成したトトの笑顔に、トト少年の面影が残っていたラストシーンもぐっと来た。

歳のかなり離れた友人でもあり、親子でもあるトトとアルフレードの関係も心地良い。トトの人生の岐路での選択はトト本人がするべきだと思うけど、故郷でずっと燻ったまま生きてきたからこそ「ローマに行って戻ってくるな」とそれこそ追い出す勢いでアルフレードが強く言うのが切なくて、これはこれでいいものだなという気づきを得た。優しい映画でした。

でも一番印象に残ったのは、上映中に感極まって先の台詞をいちいち言う迷惑なおっさんだった。こんな客がいたら私ならキレてる。あと映画館の観客の反応がまんま応援上映で笑った。