ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ザ・エージェント』感想

スポーツ・エージェントの成長を描くドラマ。タイトルからエージェントのサクセスストーリーを想像していたら、恋愛の占めるウェイトが大きかったのは予想外。まあこの主人公は冒頭10分で利益を優先する会社の在り方に疑問を抱いて "良心" に目覚めるので、あとはまだ理解出来てない恋愛のほうに重点を置いたのかもしれない。これで恋愛描写が合わないと苦痛でしかないけど、ちょっと情けないところがあるジェリーをトム・クルーズが好演しているし、ドロシーを演じるレネー・ゼルウィガーも色っぽくて可愛いからロマンスも含めて楽しめたのが良かった。

といっても青い理想だけで仕事が上手くいくほど世間は甘くないのでそこも一応描かれるんだけど、ライバルであるボブのやっていることとの違いが今ひとつ分からなかったのでピンと来なかったな正直。ボブをもっと派手に見返して欲しかったからラストもちょっと物足りないのだけど、この作品は熱いハグを交わすジェリーとロッドを羨ましそうに見るくらいがいいのかもしれない。

そのロッドとの友情は良かった。ロッド役のキューバ・グッディング・Jr.が初登場シーンからノリノリで楽しいし、「Show me the money!」を連呼するシーンはなかなかに強烈。あとこの二人は片方が仕事を優先して家族や恋愛が上手くいっておらず、もう片方は家族を優先するがあまりに契約重視で肝心のアメフトの試合では真価を発揮できていない、という見事な正反対になっており、最後には互いの存在が互いのハッピーエンドに導くのもいいよね。

ドロシーの息子のレイも可愛い。青年と子供の組み合わせに弱いので、仲のいいジェリーとレイが見れただけでも美味しかった。妹の恋に反対してる風だけど親身になって応援するローレルも良かったし、トムをボコボコに殴ったり鳩尾な膝蹴りを入れるエブリーも好きなキャラクターだな出番は少ないけども。理想を追い求めていきなり人生の大博打を打つ婚約者を見捨てないどころか応援するし、失敗して泣きついてきたジェリーを詰りつつも愛してくれてるとか、めちゃくちゃいい女じゃないですか。

あとジェリーのいちいちオーバーでアメリカンなリアクションが見ていて楽しかった。素っ裸のロッドとの "話し合い" なんて切羽詰まったジェリーの必死の訴えと苛立ちが面白すぎるもんな。かと言って演技がオーバーという感じもなく、上手く作品に溶け込んでいたように思います。今はすっかり『M:I』のイーサンのイメージが強いけど、ジェリーのような人間味のあるキャラクターを演じるトムもいいものだなと。

ところでこの映画は曲がいいし曲の使い方もいいんだけど、ジェリーが車内で一人「Free Fallin'」を熱唱するシーンは特に好き。古い映画を見ると、古い名曲に出会えることがあるのも嬉しい。