退職して妻にも先立たれて隠居生活を送っていたおじいちゃんが、生き甲斐を求めて通販アパレル会社のシニア・インターン・プロジェクトに応募するコメディ・ドラマ。ナンシー・マイヤーズ監督の『ホリデイ』が楽しかったので期待してたんだけど、引っかかる箇所の多い作品だった。序盤のテンポは心地良かったし、デ・ニーロがちょっと出来過ぎなくらいにバイタリティ溢れる理想の社員ベンを好演しているし、アン・ハサウェイのファッションを眺めるのも楽しかった。が、ジュールズというキャラクターを中心に納得の行かない要素が多すぎる。
最後は素直に外からCEOを迎え入れた方が良かったんじゃないか。確かに浮気はいかんけど、結局マットは犠牲になったままで何の解決にもなってないよーな。こんな偏った夫婦関係はそのうち本当に破綻すると思うんだけどな……幼い子供もいるなら尚更。せめてジュールズが、彼女の分まで家庭のことを請け負うマットを思い遣るシーンがあれば良かったんだけど、最後は最後は仕事に打ち込むジュールズを応援するだけの展開になるので納得が行かない。ジュールズとマットの性別を逆に置き換えてみると、あの結末の問題が分かりやすい。
マッサージ師フィオナのエピソードもすべて必要とは思えないし、ジュールズがママの悪口を書いたメールをママに誤送信して社員の力を借りる展開もちょっとな……。「プライベートは隠すタイプなの」とか言ってたくせに、こういう時だけ母親との問題のために社員を利用するジュールズはあまりに都合が良すぎる。アン・ハサウェイが好きなだけに残念でした。可愛いデ・ニーロを堪能する映画としてなら、まあ。
