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『マイ・マザー』感想

マイ・マザー(字幕版)

マイ・マザー(字幕版)

  • 発売日: 2014/07/04
  • メディア: Prime Video

「母を愛せないが、愛さないこともできない」という少年ユベールとその母の、剥き出しの愛憎を描く100分でした。毎回この親子は些細なトリガーから生々しい罵り合いになるんだけど、不思議と見続けられる妙な魅力がある。洗練されておらずめちゃくちゃ荒い映画ではあるけど、その荒さも好み。それはそれとして疲れるのも事実で、罵倒はほんっとーにエネルギーをごっそり持ってかれるんだなと実感する。あと最後までグザヴィエ・ドランの前髪が気になってしょーがなかった。

木の葉の中をウエディングドレス姿の母親が駆ける映像や胎児のようにバスの中で蹲ってシャワーを浴びるユベールなど印象的なシーンは多かったけど、寄宿学校に向かうバスに乗る前の親子のやり取りが一番来た。

「今日、僕が死んだら?」
「明日、私も死ぬわ」

互いに傷つけあっても結局は離れられない親子の、特に母親の表情が好き。あと「母親に向かない女」というのは珍しくないと思うけど、教師とのやり取りの中で零れたユベールの「僕は息子に向いてないのかも」はあまりにもいじらしく哀しい台詞でちょっとぐわっと来た。