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『フック』感想

フック (字幕版)

フック (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

基本的には子供向けかもしれないけど、子供向けであることが必ずしも大人にとって楽しめないなんてことはないし、当時の評判は良くなかったらしいけど私は楽しかった。

確かに欠点はあって、全体的に冗長気味なのは気になる。序盤はピーターがネバーランドに行くまでが長いし、終盤のフックとのチャンバラも戦いを一旦やめて子供と帰ろうとした後にまた戦う、という中途半端な流れになっているのもあり、長さを感じさせられる要素があちこちにある。バトルが冗長に感じるのはピーターの動きが鈍重でモタモタしているからだけど、今の洗練されたアクションに見慣れてしまったせいもありそう。そういう意味ではティンクの表現を始めとするチープなCGも今見ると野暮ったいんだけど、独特の味わいがあってこれはこれで好き。CGじゃない本物のフルスケールのセットもすごい。これは今の時代に見たからこその素直な感動でした。あとジョン・ウィリアムズによる劇伴が今回も素晴らしい。楽曲ももちろんいいんだけど、何よりスピルバーグ監督の作品世界に合うんだな。

他に不満だったのはピーターの浅いキャラクターで、ロビン・ウィリアムズはハマっていると思うのにあと一歩が足りないように感じるのはなんでだろうな。大人になってしまったピーター・パンという切り口は面白いと思ったし、ルフィオとの悪口合戦で想像することの重要さに気づくシーンや空を飛べるようになるシーンは熱かったし、エピローグもぐっと来たんだけどな。

その分、何故かタイトルにもなっているフック船長はダスティン・ホフマンの存在感もあって魅力的だった。スミーとのコンビもいい。自殺のところはただの迷惑なおっさんで笑ったし、こーゆー要素がピーターにも欲しかった。あとフックがジャックとマギーを手懐けようとするところでマギーが「ママは毎晩本を読んでくれるわ。愛してくれてるからよ」と言うと「本を読むのは子供を寝かせるためだ」と返すんだけど、フックのこの発言は間違ってはいない。まあ言い方はかなり意地悪なんだけど、実際ママにもママの時間が必要なのは確かで、子供たちに対する意図はさておいてそのことをママがいなかったフックが理解しているのも面白いなと思う。

フックが時計を恐れるのは老いへの恐怖だったけど、最後に消滅したのであればもう年は取らないわけで、フックはピーターによって救われている。彼はこんな形で終わることを望んではいなかっただろうから残酷な話ではあるけど、そこも含めてなんか童話っぽい。セットの存在が演劇を見ているような感覚にさせてくるんだけど、それもまた童話のように思わせるのだろうなと。