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『ヘイトフル・エイト』感想

猛吹雪の中、紳士服飾店に閉じ込められた八人の男女が、密室の中で怒涛の会話劇を繰り広げるサスペンス。タランティーノ監督作は大当たりが多いので期待していたけど、こちらは面白かったとは思うもののあんまり刺さらなかった。話が本格的に動き出す中盤までがかったるいせいもあるんだけど、今回のダラダラ会話劇に乗れなかったのは南北戦争に関する知識がないのも響いたのかもしれない。それでも「ニガー」や「ファック」連呼だとか音楽の使い方とか(エンニオ・モリコーネで驚いた)派手な血飛沫やゴア描写など相変わらずなタランティーノ色はしっかりあるし、ミステリは好きなので後半以降のストーリーは結構楽しめました。

タイトルの通り、キャラクターはクソ野郎ばっかなのが良かった。でもルースは乱暴ですぐデイジーを殴るけどデイジーを気遣う場面は多いし、ウォーレンの持つ「リンカーンからの手紙」を信じていたことからも、八人の中では一番まともだったんじゃないか。強烈な吐血シーンも印象的でした(O.B.は気の毒すぎる……)。デイジージェニファー・ジェイソン・リーが熱演していたのもあり、ちょいちょいムカつくんだけどそこを含めて面白いキャラだった。

ところでオープニングでチャニング・テイタムの名前があったからどこで出てくるんだろうと思ったら、床下からウォーレンのタマをぶち抜くという予想もつかない登場で度肝を抜かされました。ハイライトはその登場シーンだけでその後すぐ殺されたけども。しかしあの髪型は似合ってないよーな……。

主役は恐らくウォーレンだと思うのだけど、スミザーズ将軍の息子を全裸で雪山を歩かせた挙句、しゃぶらせていたことを嬉々として将軍に語るんだよな。かなりのクズやんけこの主人公!(その上でちんこを撃たれているのが見事な因果応報になっている) あとウォーレンがボブの顔を木っ端微塵に吹っ飛ばすところはいい意味でコミック的で笑った。ひっでえ。でもそんなウォーレンの創作による「リンカーンからの手紙」は、ウォーレンが書いたからこそちょっとぐっと来るものがある。あれこそが彼の本音だったんじゃないかと思わせるほどの、誠意に溢れた文章でした。最後に白人のマニックスが手紙を褒めるのもいいんだよね。