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『ドラゴン・タトゥーの女』感想

雪のスウェーデンを舞台にジャーナリストが財閥当主の姪の失踪事件を追うサスペンス。キャラクターの名前がブルムクヴィスト(主人公)、ヴァンゲル(依頼人)、ヴェンネルストレム(主人公を訴えた実業家)と紛らわしく最初は躓きかけたけど、名前を覚えた後は素直に楽しめた。容疑者となるヴァンゲル一族も人数が多いけど、一部以外はほぼ登場しないし重要でもないので覚えられなくてもあんまり困らない。おかげで犯人はすぐ分かるけど、初登場から怪しさ満点でフィンチャー監督も隠す気が無さそうなんだよな。謎解きも尺の問題があるからかサクサク進むけどリスベットが相棒になってからは更に加速しており、これはもう犯人探しを楽しむ作品ではないのだろうなと。それよりもキャラクターと映像の力が強く、私はそちらで満足できた。冬の北欧の風景が美しくダニクレの上品な佇まいや眼鏡姿とも合うし、黒いコスチュームを纏うルーニー・マーラも雪とのコントラストが効いてて絵になる。何より正義感はあるけどやや情けないところのあるミカエルと、大胆かつクールなリスベットのキャラクターが好みだったのが私には美味しかった。

主役二人の関係も面白くて、二人が互いの人柄と能力を信頼するきっかけになったのが「ミカエルの身分調査」にあるところがいいし、あくまでも仕事仲間で互いに信頼し合ってるんだけどセックスするのもいい。ドライな関係に見えるけど、リスベットのほうはミカエルに恋をしていたというのがぐっと来るんですよね。バイクで颯爽と駆けていくし終盤でも囚われのミカエルを助けたりヴェンネルストレムの悪事を暴こうにも決定打がなく逃げられそうなところを影からサポートするような活躍ぶりなのに、ミカエルに対しては不器用なリスベットがいじらしかった。一方でミカエルは落ち込んでいる時にエリカに慰めてもらうような男だし、エリカがへーデスタまで来た時もエリカに誘われてからベッドに行くくらいなので基本的には受け身なんだろうな。だから強引に迫られたら抗えない。それでもクリスマスにエリカと仲良く歩くミカエルを見て、渡すはずだったプレゼントをゴミ箱に捨ててリスベットが去っていくラストは切なかった。好きな終わり方ではあるけども。

この作品はゴットフリート、マルティン、ビュルマンと女を性欲処理の道具としか思ってないような最悪のクズが大量に出てくるんだけど、全員女によって報いを受けるのは痛快だった。特に「俺はレイプ魔のブタ野郎」と腹に文字を彫られた挙句にディルドまで尻に突っ込まれたビュルマンの醜態は、リスベットが理不尽に強姦されるシーンが容赦なかったのもあって見ていてスッキリした。

ただ、猫の惨殺死体を見せられた時は凹んだ。猫を「ネコ!」と呼ぶミカエルを微笑ましく見ていたから尚更で、でも同時にこうした容赦のなさもこの作品のいいところだと思っちゃうんだよな。ああもう。