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『蜘蛛の巣を払う女』感想

主要国の核攻撃システムにアクセス出来るプログラム "ファイアーフォール" を巡って天才ハッカーが戦うアクション。キャストが一新されてミカエルが脇役に回っていたのも驚いたけど、内容もサスペンス色の強かった前作とは異なり、事件のスケールが大きくなったことで世界の危機を救うスパイアクションのような映画になっていた。といってもリスベット役のクレア・フォイは健闘していたし、面白けりゃ別にジャンルが変わってもいいし、ハッキングもアクションに取り入れていて結構面白かったとは思う。が、その分ドラマの描き方が浅くなってしまったのが……。ファイアーフォール争奪戦も単調で盛り上がりに欠けるし、尖っていて魅力的だったリスベットのキャラクターも味気ないものになってて物足りない。前作はキャラクターに惹かれた部分が大きかったから尚更なんだけど、おかげで最後まで乗れなかったな結局。

今回は黒い龍と赤い蜘蛛の姉妹対決が最大の見所になると思うんだけど、カミラの掘り下げが浅く盛り上がらなかった。虐げられる女を救ってきた姉が自分を助けに来なかったことを責めるカミラの訴えや、かつて姉が妹の目の前で落下した時をなぞるかのように今度は妹が姉の目の前で落下するラストは良かっただけに惜しい。

ミカエルも影が薄く、カミラの存在に辿り着いたり公安の狙いに気付いたりはするけどリスベットも自力で出来たと思うし、彼がいなくても物語は成立する気がしてならない。リスベットとミカエルがそれぞれ隣接するビルのエレベーターで再会するシーンは、二人の微妙な距離感が出ていて良かったんだけどな……。

ニーダムもよく分からん。元は伝説的なハッカーで今はNSAに所属しているらしいけど、終盤はスナイパーライフルで遠くから敵をガンガン撃ってくれるからびびる。そんなスキルを持っていることにも驚くし、そもそも目的が一致しているわけでもない彼が何故協力してくれたのかも分からなかった。