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『A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー』感想

事故死して地縛霊になった主人公が住み慣れた家でずっと見守り続けるだけの話なんだけど、目のような丸い二つの穴があるシーツを被ったゴーストの姿が妙に哀愁を誘うし、スクリーンサイズや画面の切り取り方、印象的な長回しの場面などで映像からも独特の空気が漂う。静謐なのもあって、不思議な感覚を得られる映画体験だったなと。

長回しといっても、夫婦が眠りにつくまでの些細な時間や妻が長々とパイを食べる時間は静かで動きが少ないので、正直ちょっと寝そうになった。ただ、過去に飛んだりすることからもゴーストには独自の時間感覚があるようなので、必要なシーンだったんだろうな。妻が仕事に向かう毎日のルーティンやヒスパニック系の家族が住み込むようになるシーンなど、こうした時間経過の演出は好み。

呆気ないほどの成仏もいい。妻が隠したメモの内容が分からないまま終わるのも、なんだかぐっと来る。上手く言語化出来ないんだけど、これは出来なくてもいいかなとも。切ない余韻を残す物語でした。