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『コンタクト』感想

コンタクト (字幕版)

コンタクト (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

ガチガチのSFかと思いきや、科学と宗教の関係に踏み込んだわりとスピリチュアルな映画で驚いた。しかし私は科学にも宗教にも疎いので、この二つの対立構図はピンと来ない。人類の95%はそれぞれの神を崇めているから無神論者が人類の代表として宇宙人に会うのは許されない、という価値観にはのけ反ったもんな。残りの5%は無視かい。更にエリーへの感情移入も難しく、パーマーとのロマンスにも興味が持てないのでは話に乗りづらい。私には向かない作品だった。

ただ、宇宙人はいるはずだと信じて躍起になるエリーの情熱は、実は信仰とそう変わらないのでは? とずっと思ってはいたから、「科学を突き詰めようとして宗教じみた図に行き着く」という皮肉をエリーが突き付けられる終盤は面白かった。根拠がないから人の信じる神を肯定出来ないエリーが、証拠を提示できず地球外生命体と接触したことを人に信じてもらえない。それでもパーマーを始めエリーを信じてくれる人はいて、自分が否定してきた神を信じている人たちにエリーが救われるエンディングは優しかった。一方、最後の最後で実は証拠があったことが語られるのが重要で、エリーは政府に「道化」に仕立て上げられたとも言えます。エリーという個人と政府の対立は道中でも描かれてきたけど、最後は胸糞な着地になるんだな。

宇宙人の姿を描かなかったのはちょっと気になる。エリーの父親の姿が投影されるのは説得力があるし上手くやったとは思うけど、同時に物足りなさも感じてしまった。「やっと地球外生命体と接触できた」という高揚感があんまりなかったんですよね私には。でも宇宙人の姿を出したとしても、画的に安っぽくなりそうではあるんだよな。難しい。

幼いエリーが倒れた父親のために薬を取りに行くシーンの鏡を使った演出は、以前から噂だけは聞いていたのでちゃんと見れて嬉しかった。