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『ジョニーは戦場へ行った』感想

もっともらしい理由をつけて若者を戦場に送り出す国のあり方を糾弾するストレートな反戦映画なんだけど、戦場を映す場面はほとんどない。けど刺さりました。戦争によって目と鼻と口と耳と四肢を失ったものの意識はあるために、過去への回想と悪夢のような幻想と希望のない現実の間を行き来することしか出来ないジョーの絶望感たるや……。それがモノクロとカラーで表現されるから尚更。序盤に戦争に行くジョーを引き止められずカリーンが神に「死なせないで」と願っていたけど、これが叶ってしまう皮肉よ。結末も含め、あまりにもむごたらしい生き地獄。

印象的だったのがジョーの夢に登場する雑なキリスト(ドナルド・サザーランドが演じているというのがいいよね)で、「どうすれば夢か現実か分かるのか」と相談するジョーとのやり取りは残酷で面白かった。彼は自分の作り上げた「神」にすら救ってもらえない、てのが辛い。陽の光を浴びていることを感じるシーンや「メリークリスマス」を告げられるシーンも、健康だった時には当たり前にあったものをようやく得られた彼の凄まじい喜びように、なんだか切なくなってしまった。