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『Fate/Zero』感想

Fate/Zero 1stシーズン

このシリーズで好きなのが『CCC』と『Zero』なんだけど、どちらも今はだいぶ内容を忘れているので懐かしみながら見た。『Zero』は虚淵玄の得意とする皮肉な人間関係の魅力が溢れていて、アニメで見るとまた違った面白さがあって楽しい。今回はアイリと舞弥さんの関係が改めてすごくいいなと思った。各陣営の相性も顕著に出ていて面白いんだけど、相性抜群と言えるのはライダー組と後半のアーチャー組(言峰)くらいかな。セイバー組、ランサー組、前半のアーチャー組(時臣)、バサカ組は合わないし、キャスター組はすれ違いすぎて逆に噛み合った(※噛み合ってない)って感じだし、アサシン組は元から使い捨てなので論外。ただ、相性がいいからと言って勝ち残れるとは限らないということもこの作品は示してくれる。そこもまた魅力だと思います。

『Zero』は見どころもたいへん多く、前半だとランサー組が印象的だった。切嗣がケイネスの滞在するホテルごと爆破するところはコントに見えてくるし、ケイネス、ソラウ、ランサーの関係も分かりやすくドロドロしてて良い。山崎たくみの声がまたいいんだよな。あと私はソラウが好きだと再確認もした。ケイネスを悪魔的なほど的確に追い詰めていく切嗣の、魔術師殺しと呼ばれる所以の最大の武器が輝くのも楽しい。セイバーとランサーが正々堂々と戦っているから尚更、切嗣の非情で合理的なスタンスが際立つ。

聖杯問答は会話だけでも聞き入ってしまうけど、豪華なキャストのおかげでそれぞれの王の在り方に説得力が増しているのがいいよね。ギルもすごい楽しそうなんだよな。第四次ではセイバーと言峰という面白いおもちゃを二つも見つけてはしゃいでるけど、イスカンダルのことも注目しているのが熱い。終盤のイスカンダルギルガメッシュの戦いも泣けた。ウェイバーをギルが認めるのもぐっと来る。しかし戦いがあっさり終わるあたりギルはまーじで無法だな……。

もう一人の主人公である言峰は面白いキャラクターで、この人の歪みには理由や背景といった由来になるものがないんですよね。アンリマユですら経緯があったのに、言峰だけは本当に異分子が突如として生まれてしまったような感じがある(間桐のじじいに同類だと言われて言峰がキレるシーンはちょっと笑った)。ギルだけが言峰の本質を見抜いて唆すんだけど、言峰の部屋での二人の会話も面白い。この二人のせいで、時臣と雁夜と葵さんが凄惨な顛末を迎えることになるのがまた…。しかし葵さんは「魔術師の妻としての覚悟」なんて全くできてなかったけど、それはもうしょうがないんですよね。魔術師の生き方自体が異常なんだよな。時臣はあまり掘り下げられてないのでちょっと分からんけど、凛はその点奇跡的なバランスで成り立っているキャラクターだなとも。

しかしアニメだと切嗣が何故言峰をあれほどまでに警戒しているのかがちょっと分かりづらいので、久しぶりに原作を読み返したくなった。虚淵玄の文章がすごく好きなので、久しぶりにあの筆致を浴びたいというのもある。