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『荒野の七人』感想

荒野の七人 アルティメット・エディション [DVD]

七人の侍』をまだ見れてないまま、西部劇の名作と言われる『荒野の七人』を鑑賞した。『マグ7』はキャラクターが格好良かったしクライマックスで盛り上がりはしたものの、一方で納得のいかない展開があちこちで見られたのが気になった作品でもあったのだけど、こちらはそういう引っかかりもなく自然に見れた。楽曲も良かった。『荒野の七人』と『マグ7』はどちらにもそれぞれ魅力があるのが美味しい。

『マグ7』では全身を黒で決めていたデンゼル・ワシントンの格好良さが印象に残ってるけど、ユル・ブリンナーの演じるクリスが元々そういう格好をしていたらしく、こちらも劣らず格好良かった。クリスの相棒となるヴィンも渋いし、オライリーは子供に懐かれるというキャラクター設定だけで死ぬことが分かってしまうのが哀しいし、金のことばかり考えていたハリーの最期はクリスとのやり取りにぐっと来た。加入まで意地を張り、最後には農民に戻るチコの着地点も味わい深い。

戦闘は言うまでもなく格好良かったけど、何よりも時代に置いていかれる手練れのガンマンたちの悲哀にこそ惹かれた。彼らが僅かな報酬で村に手を差し伸べたのはこのことも理由の一つになっているし、最後のクリスの「じいさんの言う通り、勝つのは農民だけ。俺たちはいつも負けだ」の一言にも集約されている。死者が多く出たことや悪党以上にモヤモヤする村長の言動もあって(しかし村を守ることを優先したい彼の気持ちや葛藤も分からなくはない)後味は爽快というわけには行かず、居場所を見つけるのが難しそうなクリスやヴィンの今後を思うとちょっと切なくもなるのだけど、そこを含めていい映画だなと思いました。