ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『エターナルズ』感想

MCUの作品にしてはちょっと異質だけど、思いの外楽しめました。十人もキャラクターがいるのに混乱しない。人の顔を覚えるのが苦手な私でも見分けが容易なほどに、エターナルズはバラエティに富んだメンバーで構成されてるんですよね。そんな個性的な面々によるドラマが面白かったからか、長いのに最後まであまり苦もなく見られた(冗長な面もあることは否定できない)。神話をイメージさせる独特の衣装や、DCEUの『MoS』のような派手なバトルも良かった。ただ、光と陰が映えるシーンもあるけど、それ以上に暗い画面が多いのは気になる。おかげで、何が起きてるのか分かりにくいバトルシーンがあった。それでも最近見たMCU作品の中では私には一番合ったし、これまで興味がなかった『ノマドランド』も見てみようかなという気持ちに傾きつつある。

最初に書いておきたいのはアリシェムがエターナルズの父親的存在かつ結構アレなキャラクターで、要するに「最悪な父親」とも言えるということです。またかい。凄まじいスケールの計画を立ててるのに対応がことごとく雑なのがもう最悪やんけコイツ。エターナルズが個性的な面子で構成されていることを面白いなと思ったけど、これ作った本人は何も考えとらんパターンじゃないのか(決めつけ)。

今回スポットが当てられているのはセルシとイカリスの二人で、ラブシーンもしっかりあるのはちょっと意外。特に印象的なのがイカリスで、セルシに寄り添っていた視聴者である私の視点からだとイカリスが裏切り者に見えるんだけど、エターナルズの本来の使命を考えたらエイジャックやセルシこそが裏切り者なんですよね。イカリスがアリシェムに忠実なのは、アリシェムに忠実であること以外に自己を保つ手段がないからだろうと窺えるのも面白い。空を飛べて目からビームを出すイカリスがスーパーマンだと言われていたのもニヤニヤしたし、イカロスの神話をそのまま準えたような、太陽に突っ込んでいくラストも切なくてとても好き。

あとギルガメッシュは清々しいほどにマ・ドンソクの魅力を押し出すところが楽しい。張り手でバシーンと敵を倒すところもたまらん。退場が思いの外早かったのは驚いたけども。それと私が一番面白そうだと思ったキャラクターは実はドルイグなのだけど、彼は離反したように見えて結局いつのまにかセルシたちに協力してくれるようになってたのがちょっと拍子抜けだった。まあ十人も描くならこれが限界だったのかも、とも思うけども。

個人はさておきセルシとイカリスを除くと、ギルガメッシュとセナ、ドルイグとマッカリのエターナルズ内の恋愛や友情で繋がる二組のコンビにはあまりそそられなかった。それぞれのキャラクターはみんな好きなんだけどな。マッカリは戦闘でも強みが分かりやすいのもあって格好良かったし、美味しい存在だったから尚のこともったいねえ。ファストスと夫と息子、キンゴとマネージャー、というエターナルズと地球人で繋がる二組も出番はそんなに多いわけではないけど、キンゴ組は些細なやり取りが楽しかった。

ただ、ディヴィアンツは脇に追いやられてしまった印象を受けて少し可哀想に思えた。彼らに関してもセナに倒されて終わるのではなく、何かしらの進展が見たかったなと。