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『シャン・チー / テン・リングスの伝説』感想

シリーズを追いかけることに疲れたのと『EG』の出来にあんまりにも満足しすぎてしまったのでMCUを追い続ける気力は落ちていたのだけど、久しぶりに『ブラック・ウィドウ』を見たらなかなか面白かったので『シャン・チー』も鑑賞。アジアンアクションの魅力が炸裂していた中盤までは楽しかったけど、後半はちょーっと乗りきれなかった。惜しい。

冒頭のテン・リングスを手にした1000年前のウェンウーの立ち回りはコーエーのゲーム画面そのままでワクワクしたし、連節バスでのバトルはテンポもアイデアも最高で期待も高まった。が、終わってみればここがピークだったなと。マカオでシャーリンとのバトルをわざわざ入れてきたあたりから展開にまどろっこしさを感じるようになり、以降はゆるやかに失速していく。MCUが宇宙人も神様も出てくるようなフリーダムな世界観なのでファンタジー要素はあってもいいんだけど、魔物の登場が唐突だったし後半の映像表現もあんまり面白くないんよね。バトルのテンポが鈍重になっていったのも不満。

何より、シャン・チーという主人公は重い過去を持ってるけど、掘り下げはあんまりないので最後まで輪郭が掴めなかった。回想が多いのはともかく、小分けにして出されるのでそれぞれのキャラクターの背景にあんまり乗れないんだな。設定だけを次々と出された印象というか。ケイティもオークワフィナの力もあって面白いキャラクターになってるけど、彼女がわざわざついてくることに「ヒロインだから」というだけでなく、もう少し説得力のある理由が欲しい。ラストでシャン・チーと一緒にウォンの説明を聞いてるのもなんか……。それはそれとして「ホテル・カリフォルニア」は名曲だと思います。

一番印象に残ったのはウェンウーかもしれない。復讐の完遂を自分ではなく息子にさせるのはよく分からん人だなと思ったけど、妻への復讐に息子を巻き込む身勝手なところも含め、MCUではお馴染みの「あかん父親キャラ」だったので「また来た!」とちょっと笑ってしまった。MCUは父親の尻拭いをさせられる息子が多すぎないかマジで。でも『アイアンマン3』の話が出てきたのはわろたんよ。あとトニー・レオンを見たのは『インファナル・アフェア』以来だけど、あの頃とは違う魅力があっていい歳の取り方をしてるんだなと思った。

以上、不満も多かったけど序盤のアクションやケイティが引っ張っていたコミカルなシーンは好きだし、最後の最後でバナー、ウォン、キャプテン・マーベルの三人が集まってるところを見るとやっぱりワクワクしてしまったからずるいな。というかバナーはなんで元に戻ってる(?)のか。