ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『マガディーラ 勇者転生』感想

転生ものがあまり好きではないのに『マガディーラ』を見たのは『RRR』が面白かったからなんだけど、転生云々以前にかなり冗長でちょっと疲れました(『RRR』も疲れたが)。

まず冒頭のダンスシーンでめげそうになった。ここをまるまるカットしても問題ないような展開なのに、とにかくダンスが長すぎる。その後のハルシャとインドゥの駆け引きもしつこくて、思わず「いつまでやるねん」と遠い目になってしまった。あとやっぱり私は転生ものに惹かれないので、この二人にそれほど入れ込めなかった。ラーム・チャランもカージャル・アグルワールも色気があるので、目の保養にはなったけども。たいへん美しいカップルでした。

あとインドゥがハルシャを父殺しの犯人だと思い込む強引な流れとか、戦が迫っている中で王女を賭けて競争を始めるところとか、王様が娘を寡婦にしたくないと急に言い出すところとか、謎の惑星の動きとか、とにかく色々雑なんですよね。『バーフバリ』は見てないけど、『RRR』はかなり洗練されてきていたんだなと知りました。あとCGもちょっとチープだったりするけど、これはまあ別にいい。ただ、ピンボケになっている場面がいくつかあって、敢えての演出なのかもしれないけど謎すぎる。

序盤のラグヴィールの気持ち悪さは面白かった。この人は徹頭徹尾、悪人として描かれているのが良かったな。ハルシャとバイラヴァが王道ヒーローとして描かれているので尚更。あと百人斬りは格好良かったなやっぱり。シェール・カーンもソロモンを含めていいキャラしてたと思います。

『テルマ&ルイーズ』感想

私はアメリカン・ニューシネマの系統が刺さりにくいようで、名作と言われるこの作品もなかなか乗れなかった。恐らく前半の気楽なテルマにイライラさせられたことが、楽しめなかった最大の要因だろうとは思う。ああいうタイプのキャラクターは苦手なんじゃー。

でもJ.D. (ブラピはこういうクズとかイカれた役が一番はまるなと実感した)が金を盗んでいった後からちょっと面白くなってきて、なんとか最後まで見られた。後半の展開は結構好き。大金を失って心が折れるルイーズと、逆に大胆になっていくテルマの変貌ぶりも良かった。電話でダリルが優しく返事するとテルマが速攻で切るところは笑ったし、砂埃を撒き散らしながら荒野の中を疾走するサンダーバードもいい。下品に二人を煽っていたおっさんのタンクローリーを爆破させるところも最高。エンディングも逞しく美しく爽快でハッピーで良かった。

『プーと大人になった僕』感想

子供向けの可愛い話かなと思ったら、大人というか社会人向けだった。クリストファー・ロビンに従軍経験があるというのが、やるせないやら何やらでもうね。しかし家庭より仕事を優先して家族に責められるパパの話は大量にあるけど、それを解決するために「一部の富裕層だけでなく、大多数の労働者にも金銭的余裕と時間的余裕と精神的余裕を与えましょう」という至極最もな結論に着地するのはちょっと意外でした。我が国のえらい人たちにも聞かせてやりたいなこれ! ぬいぐるみっぽさを押し出すようなプーのビジュアルに最初は戸惑ったし、ロビンと再会した直後はプーが迷惑な存在として描かれているのでちょっと苛つくことはあるものの、ビジュアルや声にはすぐ慣れて、苛つく以上にやっぱり可愛いクマに癒されました。

ところで100エーカーの森の住人はロビンのイマジナリーフレンドで、ロビン本人も子供の頃からその自覚があったというところが『プーさん』の世界の重要なポイントだと勝手に思ってたんだけど、後半で他人がプーたちを認識していたから戸惑ってしまった。現実と幻想の境界線は明確にしてほしい派なので、プーたちがマデリンとロンドンの街を駆ける活劇は一定の楽しさはあるものの、リアリティラインが曖昧なままだとその楽しさに素直に没入できなくなるな、とも。

『アイアムアヒーロー』感想

評判がいいので期待してたんだけど、比呂美が登場する前までは面白そうに見えてたんですよね確かに。序盤のてっこのカマキリみたいな動きとか、混乱の街中で英雄が逃走する長回しのシーンとか、日本を舞台にしているから銃を持つ人が貴重になっているところとか、あと全体的にゾンビの造形やグロ描写からは気合いが感じられて良かった。テレ東ネタも好き。

が、比呂美と山中に入ってからが面白くない。ショッピングモールを舞台に移してからのコミュニティの崩壊もかったるかった。比呂美は半ZQNになのにほぼ眠り姫状態だし(怪力を手に入れているのにもったいなさすぎる)、比呂美の代わりに出てきたような藪も今ひとつ冴えない。だからこそクライマックスでの英雄の活躍が生きるんだけど、それまでがだるかったからか思ったよりは跳ねてくれなかった。

『俺物語!!』感想

鈴木亮平目当てで期待せずに見たけど、思いの外楽しめました。変に弄らずストレートなコミック映画として作られているのが良かったのかもしれない。いい意味でオーバーなのが合ってたというか。鈴木亮平はやっぱりいい役者だなと、改めて実感もした。あと猛男と大和の恋物語ではあるけど、猛男と砂川の友情物語としてもバランスが良かったし、むしろ私は二人の友情のほうにぐっと来た。もてまくる砂川が、今まで誰とも付き合ってこなかった理由に泣けた。

笑えるところもあり、冒頭のビルが揺れるほどの壁ドンとか、猛男の背後からスッと現れる母親とか、お化け屋敷で幽霊をスルーする猛男と砂川とか、ケーキ屋のおばちゃんと写真撮るところとか、最後のキスの練習なんかは本当に笑いが漏れた。エンディングで流れる槇原敬之の歌も合ってた。おかげで後味もこれ以上ないくらいに爽やかなものになっていたと思う。

『アシュラ』感想

韓国ノワールはパッと見の雰囲気が似ているので、そんなにたくさん見てない私ですら各作品の区別がつかなくなりつつあるんだけど、やっぱりクオリティが高いので見出すと止まらなくなる。『アシュラ』も例に漏れず面白かったです。映画が始まってすぐに破滅的な結末に至ることは予想できるので予定調和ではあるんだけど、地獄の中を悪人どもが悲劇的結末に向かって全力疾走していく様が美しくもあるんですよね。ファン班長が転落するシーンや雨の中のカーチェイスなど、縦横無尽に動くカメラワークも印象的でした。

中でも鮮烈なのがパワハラピラミッドの頂点にいる極悪市長のパクで、序盤の委員会との会食シーンは特に輝いていた。マイクで机をガンガン殴ってコップの中の水をぶち撒け、その後はフルチンで恫喝やら説教やらでもうやりたい放題なのが面白すぎる。室長にパンツを履かせるところも最高。メディアを意識したパフォーマンスもいちいち面白い。そして悪どい。演じたファン・ジョンミンがとにかく素晴らしくて、爆笑スレスレの恐怖感が良かったな。一見すると冴えないサラリーマンに見えなくもないのに、他人を補食しようとするような底知れぬ怖さがあり、同時にチャーミングなところもあるのが魅力的でした。

権力を笠に着て暴力を振るうキム検事も、パク市長ほどのインパクトはないもののやはり圧が凄かった。パク市長の決定的な証拠は手に入れられないのに、ドギョンに関しては色んな動画を持っててなんか笑うんだよな(ドギョンが甘すぎるんだろうけども)。

そんな二人の間の板挟みで苦しみながら足掻くドギョンも面白い主人公でした。ガラスコップをガリガリ噛み砕くシーンとか、クライマックスの市長を撃ち殺す時の壮絶な笑みとか、ラストの虚無の表情もいいんだけど、カーチェイスのシーンが一番好き。ブチ切れるドギョンがすんげえいいのよね。ただ、ソンモとの関係変化も悲劇的で面白いはずなんだけど、ソンモが身代わりに警察を辞めるまでの二人の関係があまり描かれないのもあり、こちらはそこまでのめり込めなかった。でも映画の尺はこれがベストだとも思っているので、これ以上を求めるのは贅沢かもしれない。ちなみに演じているチョン・ウソンは時々西島秀俊に見えた。

『シャークネード カテゴリー2』感想

前作よりずっと面白くなった。バカバカしいけどバカバカしいなりに序盤から盛り上げてくるし、飛行機、タクシー、フェリー、地下鉄と色んな乗り物が目白押しで楽しい。あと今回はフィンをヒーローとして描いていたのが印象的でした。元カノのスカイとのエピソードは必要なかったかなとは思うけども。

本体から切り離された自由の女神像の頭がニューヨークの街をゴロゴロ転がるところと、ピザ屋での店主との謎の連携プレイが好き。